作法・しきたり
目次
【合掌礼拝】
- 合掌の心
- 念珠
- 念珠の持ち方
- 合掌礼拝
- 焼香の作法
【仏壇】
- 仏壇
- 仏壇を安置することについて
- 飾り付け
- 香
- 仏飯(ぶっぱん)
【おつとめ・食前の言葉】
- 朝夕の勤行
- 朝夕の勤行(作法)
- “『正信偈和讃』六首引”とは
- お勤めの種類
- 食前の言葉
参考:『浄土真宗必携』本願寺出版社
【合掌礼拝】
1.合掌の心
- 如来さまへのごあいさつは、合掌にはじまり合掌におわります。
- “礼拝”とは祈ることではなく、仏徳への感謝と讃歎ですから、「お礼をする」ともいいます。力まず自然な気持ちで、しかも怠りなくつづけましょう。
2.念珠
- 念珠は、仏前に礼拝するときに手にかける法具です。
- 決して、投げたり、畳の上に直においたりしてはいけません。
- 家族のひとりひとりが、かならず念珠を持ちましょう。
3.念珠の持ち方
- 合掌のときは両手にかけて、ふさを下にたらし、親指でかるくおさえます。合掌しないときは、左手にかけます。
4.合掌礼拝
- 両手を胸の前に合わせて、指をそろえて約45度上方にのばし、念珠をかけて親指でかるくおさえます。
- 肩、ひじをはらず自然に、目は御本尊の方にむけ、そして静かに念仏します。念仏は、「南無阿弥陀仏」と数回となえます。
- 礼拝は、合掌したまま上体を約45度かたむけてお礼をし、上体を起こしてから合掌をときます。
5.焼香の作法
- 立って行う場合、焼香卓の二、三歩手前で御本尊に一礼し、進んで香を右手でつまんで香炉のなかに一回入れ、合掌・念仏・礼拝し、2、3歩さがり一礼して退出します。
- すわって行う場合もおおむね上に準じます。
※注意点
- 香をたくまえには合掌しない。
- 香をたくのは、一回のみ。
- 焼香のとき、かねをたたかない。
- 香を、額におしいだかない。(写真:誤った例)
【仏壇】
1.仏壇
- 仏壇とは、その家の最も尊厳な場所であり、家庭生活の中心となる場所です。
- うちには亡くなった人がいないから、仏壇はまだいらないと考える人がいますが、間違いです。仏壇は死者や位牌のためのものではありません。日々を生きる力のもとである仏さまのお慈悲に、私たちがあう場所です。
2.仏壇を安置することについて
- 仏壇はそまつにならないで、しかもみんなに親しみやすいところにおきましょう。
- 仏壇をもとめることについて、さまざまな迷信や誤解があるようですが、そんなことにとらわれないようにしましょう。新たに仏壇をもとめることは、家庭に心のともしびがともるめでたいことです。そのときにはご住職に相談して、入仏式(入仏法要)をおつとめいたしましょう。
3.飾り付け
- 五具足(ごぐそく)と三具足(みつぐそく)の2種類があります。
- 五具足とは、花瓶(かひん)1対、ろうそく立て1対、香炉1の5点でかざるのを五具足といい、下の写真のように飾ります。(写真)
- 香炉で、足の3本あるものは、その1本が手前にくるようにおき、耳のあるものは正しく左右にむけます。
- 三具足とは、五具足のうち花瓶1、ろうそく立て1の2点をはぶいたものです。
※五具足とは、報恩講(親鸞聖人の命日をお祝いする行事)、年忌法要、新年、盆など、あらたまった場合にもちいます。普段は、下の三具足にしておきます。
4.香
- 香は、印度に起源をもつ礼拝の用具です。
- 線香は立てずに、みじかく折って横にしてたきます。本数に規定はありません。香は、かおりに価値があるのですから、いやなにおいのものはさけて、良質の香をたいてください。
5.仏飯(ぶっぱん)
- 御仏飯は、毎朝御供えします。下げるのは昼まえにするのが原則ですが、朝のうちに下げて、暖かいのをいただいてもかまいません。
- 水やお茶は供えません。
【行事】
1.朝夕の勤行
- 朝夕のお参りは欠かさずにいたしましょう。そして事情が許すかぎり家族そろっておつとめをし、仏さまへ朝夕のごあいさつをします。
- 家庭は子供の心を育てるには最も大切な場所です。とこに人間の心が失われつつある時に、朝夕の仏参(おつとめ)がこどもの人格形成に実に大きな役割を持つことを、改めて考えたいものです。
- 花をかえたり、お仏飯をあげたりすることをお給仕といいますが、こどものいる家庭では、その年齢に応じてこどもにお給仕をさせましょう。それが教えを「身につける」もとになるのです。
- 勤行は、『正信偈』と『正信偈和讃』を六首ずつ繰り読みし(『正信偈』六首引)、御文章を拝読、領解文を唱和するのが正式ですが、別にそうしなければいけないという規定はありません。そもそも、『正信偈和讃』(下写真)の本があるお宅も少ないでしょう。
2.朝夕の勤行(作法)
- ろうそくに火を付けて灯明をたき、お線香をたき、御仏飯をおそなえし、合掌礼拝して勤行をはじめます。
- 終わりに、合掌・礼拝し、灯明を消して退席します。
※ろうそくの火を消すのを忘れないようにしましょう。
3.“『正信偈和讃』六首引”とは
『浄土真宗本願寺派 日常勤行聖典』を見ていただくと、『正信念仏偈』は、5頁から始まり、35頁の「……道俗時衆共同心 唯可信斯高僧説」で終わります。
そして、次の頁をあけていただくと、「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南」とあり、「弥陀成仏のこのかたは いまに十劫をへたまへり 法身の光輪きはもなく 世の盲冥をてらすなり」という和讃に続きます。
そして、今度は再び、「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏 南」とあり、「智慧の光明はかりなし 有量の諸相ことごとく 光暁かふらぬものはなし 真実明に奇妙せよ」という和讃に続きます。
このくり返しが、
(念仏)
@「弥陀成仏のこのかたは いまに十劫をへたまへり 法身の光輪きはもなく 世の盲冥をてらすなり」
(念仏)
A「智慧の光明はかりなし 有量の諸相ことごとく 光暁かふらぬものはなし 真実明に奇妙せよ」
(念仏)
B「解脱の光輪きはもなし 光触かふるものはみな 有無をはなるとのべたまふ 平等覚に帰命せよ」
(念仏)
C「光雲無碍如虚空 一切の有碍にさはりなし 光沢かふらぬものぞなき 難思議を帰命せよ」
(念仏)
D「清浄光明ならびなし 遇斯光のゆへなれば 一切の業繋ものぞこりぬ 畢竟依を帰命せよ」
(念仏)
E「仏光照曜最第一 光炎王仏となづけたり 三塗の黒闇ひらくなり 大応供を帰命せよ」
(「願以此功徳 平等施一切 同発菩提心 往生安楽国」)
と、45頁まで続くのですが、ここに、和讃が六首があることがわかるでしょう。
このお勤めを、“『正信偈』六首引”と言うのです。
この@からEの和讃は、
浄土真宗の御開山親鸞聖人にがつくられた和讃でありますが、聖人がつくられた和讃はこの6首だけではなく、実に、300首以上あります。
そして、それらを六首ずつ順番に読んでいくお勤めを、『正信偈』六首引の繰り読みと言っています。そして、その際には、それらの和讃が収められた、『正信偈和讃』(上記の写真)を用います。
4.お勤めの種類
- よく用いられるお経としては、『正信偈(和讃六首引)』、『讃仏偈』、『重誓偈』、『十二礼』、『仏説阿弥陀経』、『領解文』、『御文章』があります。これらは全て、『意訳 真宗勤行集』(下写真左)、『日常勤行聖典』(下写真右)におさめられています(見づらい写真ですみません)。
※ちなみに、専徳寺の朝事は、『讃仏偈』、『正信偈(和讃六首引)』の繰り読み、『三部経』の繰り読み、『御文章』。夕事は、『重誓偈』です。
5.食前の言葉
- 食事のはじめに合掌し、「食前のことば」をとなえます。食事がすんだら合掌し、「食後のことば」をとなえます。
- 食前・食後の合掌は毎日のことであるだけに、感謝の心を養うために大きな働きをいたします。家庭の情操教育はこんなところにあるようです。
- どんなに忙しくても、合掌と「いただきます」「ご馳走さま」と礼拝だけは忘れぬようにしたいものです。
(食前のことば)
●多くのいのちと、みなさまのおかげにより、この御馳走を恵まれました
○深く御恩を喜び、ありがたくいただきます。
(食後のことば)
●尊いおめぐみをおいしくいただき、ますます御恩報謝につとめます。
○おかげで、ごちそうさまでした。
※●は一人で言い、○の部分からみんなで言う。ことばを言うときは箸を置いて合掌する。