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過去の法話

 

仏が願う(10月前半)

ウサギ

【妻が相談する時】

 

先日の夫婦の会話であり、よくある夫婦の会話です。

 

昼食が終わって、仕事をしようとする時に妻が一言。

 

「夕飯は何が良い?」

 

「……いや、食べたばかりでそんなこと言われても。」

 

「でも、夕飯まで会えないから、今聞いておこうと思って。」

 

「……それじゃあ」

 

しばらく悩みました。
このとき、少しでも冷蔵庫にある食材を気にしておけばいいのですが、
昼食を食べたばかり。
ボーッとしていました。

 

「栗ご飯……豚汁……あと、金肥ゴボウか、ほうれん草のおひたし。メインは肉ジャガか、サンマかな。」

 

すると妻が一言。
「聞いた私がばかでした」

 

スタスタと向こうに行ってしまいました。

 

夜は全く別の料理。
私の悩んだものは一体……。

 

【相談する理由】

 

近所の友人に教えてもらいました。

 

男が妻(彼女)に相談する時、
それは本当に答えがゼロで、困っている時。
だから妻(彼女)の意見はほぼ賛成します。

 

しかし妻(彼女)が夫(彼氏)に相談する時の目的。
それは自分の中の考えをまとめたい時なのだそうです。
だから残念ながら、夫(彼氏)の意見に賛成することはあまりありません。

 

つまり自分の思いを後押しして欲しいのです。
ならばどう応えるか。
オウム返し。
逆にたずねると良いのだそうです。

 

例えば「AとB、どっちが良い?」
といった選択の相談には、

 

  「AとB、どっちが良いと思うの?」

 

といった具合に相手の考えを引き出す。

 

ところが問題は「今日、どこに食べに行きたい?」といった漠然とした質問。
その場合、選択肢の相談にかえてあげると良い。

 

  「自分は今、AとBが浮かんだけど、どう思う?」

 

別にCでも良いのです。
目的は漠然としていた悩みを軽くすること。
相手の無意識にある思いを導きだしてあげるのです。

 

なるほどと思う私。
とても良いことを習いました。
「言うは易く行うは難し」ですが。

 

【仏が願う意味】

 

私たちのご法義は「阿弥陀様の願いを聞く」ことを旨とします。

 

しかし普通は逆です。
私に願いがあってそれを神や仏が聞き受け、
そんな私に条件を提示し、それを満たせばその願いは報われる。

 

けれども私が願いを申す前に、すでに願いを立てられたのが阿弥陀様。
「私が南無阿弥陀仏という名のはたらきとなってあなたに入り満ち、
南無阿弥陀仏という声となってあなたに聞こえるものとなり、
浄土に生まれさせ、仏にさせる。」

 

何故か。
私の口にする願いを承知していた仏さまなのです。

 

どこまでも煩悩の染みがとれない私の願いと承知していた仏さま。
幸せを願いつつ、本当の幸せとはほど遠いものを願う私と承知していた仏さま。

 

そんな私だから、仏の方が願う。
私には何もいわず「われにまかせよ。必ず救う」と誓う。
私を思うが故、私の願いは聞かないのです。

 

私が仏の願いを、願い通りに聞くのです。


(おわり) 冒頭へ

 
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